日本は、20世紀の最も偉大なアメリカ人建築家とたたえられるフランク・ロイド・ライトが、米国以外で唯一、住み、仕事をした国です。日本国内からはもちろん世界各国からも、毎年多くの建築家やライトファンが、日本に残るフランク・ロイド・ライトの建築を訪れています。

1880年代、フランク・ロイド・ライトは、米国で日本美術を知り、日本に興味を持ち、強い関心を持っていました。1905年、日露戦争の中、ライトは、日本を初めて訪れました。米国からバンクーバーを経て日本までは、約2週間の船旅でした。37才のライトは、開港50年を迎えようとしていた横浜港に、妻や友人とともに到し、日光から四国まで日本各地の史跡、景勝の地を訪れました。忍び寄る工業化にも関わらず、豊かな自然を持つ日本に抱いていた理想の姿を確認したのでした。

ライトは、織物、陶器などの多くの工芸品だけでなく、多くの浮世絵を米国に持ち帰りました。翌年、ライトはシカゴ美術館で浮世絵展覧会を開催し、日本の美術を米国に広めました。1917年、ライトは帝国ホテル設計者として、日本を訪れ、数々の建築を日本で計画したのです。

ライトが、日本のために設計した建物は、13件が確認されています。ライトが生涯で設計した建物の多くは住宅設計です。しかし、日本では、ホテルが3件、学校、大使館、映画館、商店から住宅までの複合ビルがそれぞれ1件で、住宅設計は6件を数えるのみです。

ライトが設計した建物

1. 在日アメリカ大使館 (計画案)
2. 林愛作邸 (一部現存)
3. 帝国ホテル (一部移設)
4. 小田原ホテル (計画案)
5. 銀座映画劇場 (計画案)
6. 三原家住宅(計画案)
7. 福原有信別荘 (倒壊)
8. 後藤新平邸 (計画案)
9. 井上匡四郎邸 (計画案)
10. 帝国ホテル別館 (焼失)
11. 自由学園 (現存)
12. 山邑太左衛門別荘 (現存)
13. 日比谷三角ビル (計画案)
14. 首相官邸 (計画案)

フランク・ロイド・ライトが設計した14の建物のうち、6件が実際に建設されました。そのうち見学できる建物は、部分的なものを含めて3件あります。ライトの建物は、それぞれ独特の建物でありながら、優しい気持ちにしてくれるライトの洗練された美と優しさに、建物を使う人々の気遣いを感じます。